11分間 

11分間・・・この時間から私が連想するのは、飛行機のCritical Eleven Minuites、魔の11分間。
離着後の3分間と離着前の8分間に殆どの飛行機事故が集中していることを知ったのは、もう随分むかしのことだが、暫くの間は、飛行機に搭乗する度、落ち着かない気分になった。

この離着時の11分間は、操縦がマニュアルになり、パイロットが様々な操作やタスクをしなければならず緊張感が一気に高まるそう。
とはいえ、滑走路を走るスピードや、離着陸するとき身体が感じる重力に気分は高揚し、眼下に映る美しい景色が徐々にズームアウトしていく様子を眺めるのは楽しいし、いつもは空に浮かぶ雲をすり抜けて、太陽や月、銀河の星々と少しだけ近くなる。

そんなわけで、パイロットの方には申し訳ないが、私にとってこの11分間は、「魔」であると同時に陸上では味わうことができない密かな非日常のわくわくなのだ。

パウロコエーリョの「11分間」

先日、本屋に立ち寄ったときに、以前、読んだことがあるこの本が目に留った。
時間があったので、その場でもう一度、読み返してみた。

同じ本であっても、自分自身がその当時とは違うので、以前とは違う読み方や感じ方、新たな発見ができるから面白い。

ブラジルの田舎に住む美しい娘が、故郷を離れスイスで娼婦として生きているマリーアを主人公に、セクシャリティをテーマにパウロが書いた小説「11分間」。
この時間は、マリーアにとってのセックスにかかる時間。
世界はたった11分間しかかからない・・・

〜引用
17歳のときのマリーアの日記から― 
私の目標は愛を理解することだけれども、そして、心を預けた人のせいで苦しむことになるかもしれないけれども、私にわかっているのは、これまで私の魂に触れた人たちが私の肉体を目覚めさせることはなかったということ、そして、私の肉体に触れた人たちが私の魂に届くことはなかったということだ。
引用終わり〜

彼女は、失望と希望、葛藤のなか、本当の愛とそこにある性を真摯に探求していく。
徹底的に探求した者が到達する境地がある。

マリーアの生きざまをとおして肉体を持った私たちの欲の一つ、セックスを描写し、愛とはなにかということをパウロならではの視点から紡いでいく。

実は、主人公のマリーアは実在する人物。二人の子供に恵まれてローザンヌで暮らしているそう。

男女問わず、まだ、読んだことがない方はぜひ、また、読んだことがある方ももう一度、手に取ってみては。

夏の前の魂が喜ぶお薦めの一冊です。

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